『サイエンススペシャル 人類と食のミステリー それでも食べずにいられないII』

何度か出演されているprader-willi症候群の少女ケイラ・ダネットさんの続編含む様々な食にまつわる疾患を抱えた患者家族のドキュメントを家族で観ました。今朝のフジテレビの『とくダネ!』でも取り上げられていて、こちらは録画して拝見。『とくダネ!』の方は日本の患者家族の方々、親の会の竹の子の会の皆さんが取材協力して出演されていました。出演された皆さんに感謝致します。むしろ本編の方で拡大して日本の状況を取り上げていただきたいところですね。

『サイエンススペシャル 人類と食のミステリー それでも食べずにいられないII』
<2008年10月24日(金)19時57分〜21時49分放送予定>
http://www.fujitv.co.jp/fujitv/news/pub_2008/08-268.html

ケイラ・ダネットさんのコーナーは、大半が前回までの放送内容のリプレイでした。prader-willi症候群でなくても、おかしくなってしまいそうな非常に困難な家庭環境の中で生まれてきて、ケイラさんは懸命に生きている。TV的にはインパクトのある御家族であるのかもしれませんが、このような疾患を取り上げて、放送して社会的認知を広げていただくのは、とてもありがたいことですが、しかし、他の疾患の御家族の取りあげかたも含めて、エンターテインメントのような、ドラマのような表現が施されていると感じる場面が多くあり、個人的にはあまり良い印象は受けませんでした。カメラが廻っている状況で、ケイラさんに「家から出て行け」と怒鳴りあげる祖父のシーンはもう修復困難な状態の家族の姿だし、そんな状況流してどうするんだと思う。
PWSに関していえば、やはり専門家による監修が行われているのか疑問であるし、食事の与え方、家族の接し方等々、この御家族のあり方を観て、何を学べと言うのか分かりません。せめて専門家による、本来あるべき方法についての解説などがあってしかるべき。サイエンス・コメンテーターとして出演されていた、小泉武夫先生は醗酵食品のユニークな研究者さんだし、御医者さんでは無いから仕方がありませんが、マイオスタチン関連筋肉肥大症の男の子に対して、「僕のお腹の脂肪を半分あげれば良かった」とか、PWSのケイラさんに対しても「食事制限も目標を持って、これだけ減量すればボーイフレンドに会わせてあげる」など、それって普通に考えたら虐待?見たいな事を言われていて、この番組の制作者は本気で難病患者を救う気あるんか?と問うてみたいですね。
また、PWSのケイラさんのコーナーは大半が前回のリプレイという事もあり、当方が指摘したジグソーパズルの能力についての疑問点についても、修正等されず再度流されていました。
その点については、詳しい方にも確認してみましたが、ジグソーパズルの能力に関しての論文では、PWSの対象者と同程度の知的能力を持った人との比較となっているとのことで、Dykens先生が当方の質疑に直接回答いただいた内容が、やはり適切な内容であると感じます。 質疑メールを下記に再録します。

PWS児の父です。他のPWSのお母さん達のblog日記で、番組紹介されていたので、家族で拝見しました。出演された外国の患者家族の方には心から感謝致します。こうやって多くの方にprader-willi症候群のこと知っていただけると、研究等の推進につながるかもしれません。私の娘がprader-willi症候群と診断受けた時の当時の情報から想像していた病状は、今日出演されていた娘さんの症状に近かったように思います。でも、その後のいろいろな情報や、子育ての中で理解していった病状はかなり違ったものになりつつありますね。番組での紹介のされ方として、過食症が中心になっていましたが、個人的にはPWSの過食は精神症状の一部ではないか、そんな風に理解しつつあります。
それと、少し疑問に感じた点があり、書き込み致します。
PWSの特殊な能力として紹介のあったジグソーパズルの能力ですが、番組にも出演されていたElisabeth Dykens先生が、PWSとジグソーパズルの能力について研究発表されたのは2002年で、その年の暮に僕は直接Elisabeth Dykens先生にメールを差し上げて、質問させていただきましたが、今日の番組の中での紹介のような、「健常者と比較して3倍も早く完成させる能力がある」というようなお話では無く、番組として、どのような研究成果を根拠にそう放送されたのでしょうか?
Elisabeth Dykens先生からの回答メールを下記に記します。

Some but not all children with pws have advanced puzzle skills, similar to if not better than those without difficulties. These skills are seem primarily in those with paternal deletions. Not every child shows interests in puzzles, and we are trying out figure out why there is variability in these skills.
Best of luck with your little girl, enjoy her!
Elisabeth Dykens

何人かのPWSはパズルの能力に秀でている。そして、その能力は 普通の子供より 良くはなくとも 少なくとも 普通の子供くらいある。
PWSの子供が皆そうという訳ではありません。
これらの技能は基本的に父方の遺伝子の欠如の子供におこるように思われます。すべての子供がパズルに興味を見せるわけではなく、私達はどうしてこれらの技能にばらつきがあるのかを解明しようとしているところです。
あなたの娘さんに幸運がありますように。
彼女と楽しんでください。
Elisabeth Dykens