オキシトシンとnecdin遺伝子

2005年10月頃に、東北大学の西森克彦教授http://www.agri.tohoku.ac.jp/bunsi/index-j.htmlが、オキシトシンと社会行動の関係についての研究を発表され拝読して、僕のblog日記にも記録していました。http://d.hatena.ne.jp/prader-willi/20051026/p1
その際、prader-willi症候群との関連について、西森先生にメールでいくつか質疑させていただいたのですが、(PWSでは、視床下部オキシトシンニューロンが半減する等、変異があるとされ、PWSで欠失しているnecdin遺伝子をノックアウトした実験マウスにも同様の変異が生じるので)、その後、先生がprader-willi症候群に興味を持っていただいたそうで、関連研究として、necdin遺伝子欠失マウスとオキシトシンとの関連を継続して研究されているそうです。
最近、海外の研究者さんがPWSの患者家族団体から資金援助を受けて、necdin遺伝子とPWSの諸症状についての研究がPUBMEDに公表されていて、その為か、blogへnecdin遺伝子で検索して来られる方が増えていたので、改めて、いくつか検索をしていて、偶然、西森先生の御研究を、科学研究費補助金採択課題のところでヒットして拝読しました。当方のblogへの転載も快諾いただきました、感謝致します。PWSの諸症状の治療法開発に結びつきますように。

オキシトシン受容体の社会行動制御と体温調節機能に関する研究
西森克彦 東北大学・大学院農学研究科・教授
科学研究費補助金採択課題
http://seika.nii.ac.jp/ (この検索のところで、オキシトシン PWSで検索すると出てきます)

一部引用
また関連研究としてPWS症候群のモデル病態マウスであるNecdin遺伝子欠損マウスを大阪大学の吉川教授http://d.hatena.ne.jp/prader-willi/10000201より入手し、このマウスでのオキシトシン系、オキシトシン受容体系の遺伝子発現異常を明らかにする研究を開始した。

今日、西森先生に許諾を得る為のメールを送らせて頂いて、さっそく御返事をいただいたのですが、そこにはとても興味深いことが紹介されていました。今年、アメリカ内分泌学会(ENDO2008)に行かれた際、数あるブースの中にアメリカのPWS協会のブースがあり、PWSについて説明をされていた方も、子供さんがPWSだったそうです。先生もその御家族の熱意に驚かれたようです。そうなんだ、すごい積極的な人達なんだと僕も改めて思いました。
先日の特定疾患の懇談会においても、予想通りというのか、PWSは研究対象には採択されませんでしたし、一年前の懇談会http://d.hatena.ne.jp/prader-willi/20070619/memoでは、一部委員より「PWSはそれほど深刻な病気ではないんじゃないか」との話がでていましたから、無理な感じがしていました。いつまでも国にPWSの治療法開発等のロードマップ作成を頼っていても時間ばかり経つだけでは意味が無いし、西森先生を始め、様々なかたちで、患者家族からの直接的な依頼も無いにも関わらず、PWS関連研究をしてくださる研究者の先生方(necdin遺伝子の発見者の大阪大学の吉川先生http://d.hatena.ne.jp/prader-willi/10000201、ghrelinの発見者の久留米大学の児島先生http://d.hatena.ne.jp/prader-willi/10000101)がおられる訳ですから、直接的に患者家族からの支援があっても良いのではないかと、改めて思いました。