松田彰展

ちょうど同じ週に知人の松田彰さんも個展されていて、案内状いただいたので観てきました。在廊されていたので、少しお話もできました。
前回の個展の際に制作されていた、ダヴィンチのモナリザをモチーフにした作品を発展させたものを作られるのかなと予想していたら、そうではなく、モナリザはどこでカットしても容易にキマるので、習作的な感じで制作していたとの事。今回の展示では以前からの作品と同様に、鉛筆で黒く塗りつぶされた紙と地のベニアのパネルとのシンプルな構成。最初にお会いした時から変わらないその制作スタイルから、塗りつぶす作業の姿をイメージしていると、観照法的なものへの僕の最近の興味と重なり、イメージが良く伝わってきました。

最初にお会いした時に御送りした展評メッセージここに転載します。

松田彰展を見て        1999年10月30日 
「黒く塗りつぶされた部分」
 形態や空間次数の操作によって、対象物(作者の説明では、円筒形を上から見た姿)は引き伸ばされ、折り畳まれていく。宇宙や生命体に共通するこの現象(又は操作)は止まることなく、ありとあらゆるものを生成していく。

「白いグリッドの部分」
作品全体を覆うグリッドは、生成していく黒の部分とは異なり、硬直化し不変な世界や概念的な仮想の平面が存在する事を暗示(又は過剰に露出)している。

黒の部分と白いグリッド。 生成していく、どのようになっていくか予測のつかない非決定論的世界と、あらかじめ定められた結果の自明な決定論的世界とは接続不可能なのだろうか?私たちの生きる世界は、それらが混在し成立しているに違いない。何処かで交じり合い、何かのはずみで分岐していく。

言葉のように 松田彰、
2008年3月3日〜8日
信濃橋画廊

今年もニューヨークで個展されるとの事です。
Akira Matsuda: AS a Word
CAELUM GALLERY
April 1-19,2008
http://www.caelumgallery.com/