ギャラリー・インカーブ 武田英治展

期間限定で設置されているギャラリー・インカーブさんの今月の展示、武田英治展を観てきました。
サントリーミュージアムでの、アトリエインカーブ展も先週で終わり、このギャラリーも、今回の展覧会までで終るとの事。アトリエインカーブ展は、エルマガジンなどの情報誌で取り上げられた事の影響が大きくて、観客も若い人が多かったそうです。

武田さんの作品は、商品のパンフレットなどを元にした、レタリングのような文字へのこだわりが特徴的な作品。会場のスタッフの方のお話では、最初の頃は、文字と絵と混在した作品を描いていたそうですが、最近では、ほとんど文字のみの白黒の表現になっているとの事。文字の下書きをして、気に入らないと何度も何度も描き直して、その為に年に数点しか作品は出来ないらしい。サントリーミュジアムでの展示作品ではあまり気付きませんでしたが、書き直されたところがわだちのように痕跡が幾重にも残っていて、その制作のプロセスは会場に置かれているモニターでの映像記録からよく伝わってきました。作家にとって、何をもって作品を完成と見なすのか、突き詰めて考えると、これはとても大きなテーマで、僕も20代の頃、個展とかした際に、そのことを中心に考えたこともありますが、なかなか難しくかつ魅力的なテーマだと今も思っています。武田さんにとって完成というものがどのように意識されているのか、その辺りは分りませんが、拝見した感じでは、完成させるということに対しては、あまり重きは置いていないというのか、永久運動のように、描き重ねられていくような、そんなオープンエンドな世界が感じられました。

美術館と期間限定のギャラリーでの展覧会は、とても刺激的なものでした。
アトリエインカーブさんのアトリエに家族でお伺いしたのは、もう随分前のことhttp://d.hatena.ne.jp/prader-willi/20040929/artになりましたが、また機会があれば見学させていただきたいなと思います。

http://g-incurve.jp/top.html
ギャラリー・インカーブのHPより