アトリエインカーブ展を観る

サントリーミュージアム天保山で開かれているアトリエインカーブ展を観てきました。
施設長さんのインタビューなどを拝読しますと、施設長さん御自身も建築デザインの専門家ということもあり、つくり手としての、オリジナルなものとは何か、について考えていた際に出会った、アウトサイダーアートの中に、オリジナルなものの源泉を感じられたらしく、その出会いをきっかけにアトリエインカーブという施設を立上げ、こうして美術館での展覧会にまでつなげてこられた活動は、とても素晴らしいものと感じます。

昨年から関連して期間限定で開催されているギャラリーインカーブで、出展作品観ていたこともあり、小さなギャラリーで作品を見た時の印象と、広いミュージアムの空間で見た時の印象とが、同じ作品でも違って見えてきました。
ギャラリーインカーブの場合は、会場でアトリエの担当の方から、直接制作上のプロセスなどお聞きすることができて、目の前の作品と、その背景などを重ねながら観る事ができた点、多くの人たちによってサポート受けているんだというバックヤードのところが感じられましたが、ミュージアムでは、その辺りのサポートはありませんから、アウトサイダーアートという側面よりも、ピュアアートの展覧会という印象を強く全面に出している、そんな風に感じました。
個人的には、バックヤードのところ、サポートのところがもっと見えてきても良いのではとも感じましたが、作品のみで訴求してみようという試みなのかもしれないですね。

施設長さんの言われる、オリジナルなもの、の定義や解釈はとても難しいし、多様な語り方が有り得ると思いますし、僕自身はあまりオリジナルなものにこだわるという考え方も薄いので、むしろ、作るプロセスを拝見する中で、見えてくる、作者達が、雑誌の商品カタログや、建物の写真、などを手掛かりに二次創作的なアプローチを採っているところにむしろ焦点をあてて見てしまうところがありますね。さらに興味深く感じるのは、彼らの作り出すイメージを加工して、デザイングッズとして商品化されているところですね。
そのようなかかわり方によって、二次創作的なアプローチからさらに何度もサポートするデザイナーの手を経て、アトリエインカーブとしての指向に沿ったグッズとされているところですね。
真空パックされて、小さく圧縮されたTシャツや様々なグッズを見ていると、作者たちの二次創作的なイメージが、再度解体されて、無意識の領域に戻されていくような、そんな循環の輪の中に居る気持ちのよさを、感じる事ができるように思いました。そのような循環の輪そのものが、オリジナルなものと呼んでも僕はかまわないと感じます。

素晴らしい展覧会、多くの方に見て欲しいですね。

アトリエインカーブ展
http://www.suntory.co.jp/culture/smt/gallery/index.html