海外の研究支援

PWSの海外の患者家族団体のFPWRでは、積極的に研究支援を実施されています。

アメリカのPWS支援財団のFPWRの研究支援の一覧より引用
http://www.fpwr.org/research/grants/summary

2007年度の研究支援を見ると、7件ありました。
それぞれを細かく読んで見ますと、日本の研究者さんが発見されたもの、最初に研究されたものが、大半である事に気付きます。
グレリン関連(寒川先生、児島先生の発見による)http://d.hatena.ne.jp/prader-willi/10000101が2件、necdin遺伝子関連(吉川先生の発見)http://d.hatena.ne.jp/prader-willi/10000201が1件、インプリント遺伝子の再活性化(北海道大学の斎藤先生が最初に細胞実験に成功された)http://d.hatena.ne.jp/prader-willi/10000401が2件、合計7件中、5件が日本人の発見、関連のものですね。
研究が進展して、来年こそ、PWSの諸症状の原因究明、治療法発見に結びつく事を祈ります。日本でも同様な研究が始まる事を期待したいですね。

グレリンの研究に関しては、食欲の問題だけでなく、精神症状に関しても研究が広がっているようで、立体的な研究が進む事を期待したいですね。
グレリン御研究の児島先生に初めてメールで質疑させていただいた時の御返事のメールに、先生の予想として、そのような精神症状にも関連していく旨のお話もありました。その後、先生のご研究に娘が血液検体として参加した際には、まだそのような面での研究実績は無く、予想の段階で、そのようなコメントを、研究参加の呼び掛けの文書に書いていただく訳にも、もちろんいかないし、過食についてのみのお話で進展していきましたが、個人的には、そのような精神症状の関連について、研究が進めば良いなと、期待していました。
FPWRのホームページには、癲癇症の患者さんにもグレリン血中濃度が高いという最近の研究成果に対して、PWSとの関連性があるのではないか、として注目されているコメントがありますね。

Ghrelin and seizures
http://www.fpwr.org/node/114
FPWRのHPより引用

以前、鳥取大学の大野先生の講演会http://d.hatena.ne.jp/prader-willi/10000502で、海外の治験の紹介があり、グレリン血中濃度を下げても、過食は治らなかったが、一人の患者において、かんしゃくが治まったとのお話があった事思い出しますね。
また、基礎医学の専門家のお話では、アメリカでは、PWSの原因遺伝子は、snoRNAであるとする学説が優勢であるらしく、上記の2007年度の7件のなかでも、1件は、snoRNAに関してのものですね。

PWS mouse model with deleted snoRNA cluster
http://www.fpwr.org/node/360

日本でも、それ故か、necdin遺伝子は、主原因ではなく、PWSの諸症状を修飾しているに過ぎないと考える傾向もあるらしい。
患者家族としては、necdinなのか、snoRNAなのか、という事を明確にする事も重要と思いますが、やはり、子ども達の体においては、どちらの遺伝子も働いていない訳ですから、相互の影響も含めて包括的な研究をしていただきたいと思います。
まだ、研究段階ですし、研究支援をその両方にされているFPWRの御考えに共鳴するところです。