湯元光男展

ギャラリーインカーブの企画展の湯元光男展を観る。前回の寺尾さんの展覧会http://d.hatena.ne.jp/prader-willi/20071014/artの時、以前アトリエインカーブさんで購入したバッジhttp://d.hatena.ne.jp/prader-willi/20040929/artを付けていくの忘れていたので、今日は夫婦とも付けていきました。偶然カーチャンが買ったのは前回の寺尾さんのバッジで、僕のは今日の湯元さんの鳥のイメージのバッジでした。

最初は鳥などの動物ばかり描いていたそうですが、最近は建物に興味を持ち始め、今回の展覧会の作品も皆、建物と動物達が一緒に描かれたものでした。建物は、彼が知っている建物の名前をスタッフに伝えて、スタッフの方がネットでその建物の画像を探して彼に渡して、それを見て描くという感じで制作されているとのこと。線描の後、色鉛筆で鮮やかに塗り分けられていくところ、彼の独特の描き方で、まるで多色印刷のように、黄色なら黄色の色を、その色に塗ると決めた位置に全部塗ってから、他の色に移るというプロセスらしい。結果的に出来上がる作品は、色彩が調和した素晴らしい作品となっている。
寺院の屋根の上に亀や舟、クジラが浮かんでいて、屋根瓦の描かれ方が亀の甲羅と同じタッチになっている。青い色の大屋根は、ちょうど海の波打つ様子にも感じられる。
他の絵では西洋風のドーム屋根のような建物と鳥とが描かれ、これは屋根の丸みが鳥の巣のように感じられ、彼にとっては、建物とは原初的なイメージとしての動物の巣を連想させるものとなっているようですね。
最近、アーチャンの絵を見ていて、気になる点として、描く対象が複数の場合で、重なり合った見え方をするものであっても、かならず切り分けて重ならないように、重なっている部分は見えないところを想像で描いて補ってでも、切り分けて分離して描こうとするところですね。これは、他のprader-willi症候群の方の絵を見ても、どうも共通した特徴のように感じられるし、重なり合うイメージを描けないのか、そのように認識しているのか、よく分りませんが、絵を見るときの一つのメタな視点として、意識して見るようになっていますね。この辺りの視覚の特性について、昨日訪問した、正高信男先生http://d.hatena.ne.jp/prader-willi/20071117/memoにも資料お渡しして、研究の御願いをしましたので、興味を持っていただければ良いなと思っています。

今日の、湯本さんの作品では、建物と鳥のイメージの絵の場合では、重なり合って隠れてしまう部分が描かれていましたし、また、全部の要素が切り分けられて、バラバラになっている絵もあるし、大きな建物やクジラのような大きな対象物の場合は、部分的に紙からはみ出して描かれていたりと、様々な表現がなされていて、視覚の部分については、単一のパターンの表現になっていなかったので、比較的視覚や認知の部分の抑圧というのか、変異のようなものは軽いというのか、抑圧がすくないのかなと勝手に想像しながら見ていました。

湯元光男展
ギャラリーインカーブ
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