見えない心に、よりそって〜 自閉症支援・服巻(はらまき) 智子 〜

とても興味深いテーマですし、番組内容から学ぶ点も多くありました。
45分間の放送時間の中に、自閉症に関する様々な情報があり、その全てを正しく理解する事は、なかなか難しい事ですが、時間を掛けてひとつひとつ詳しく知っていきたいと思いますね。自閉症児に有効とされる絵を使ったコミュニケーション(たぶんPECSと呼ばれるシステム)のところは良く理解できました。
登場された自閉症の子供さん達の、リアルな行動面の問題を、放送で見たのは、たぶん初めてではないかなと思います。そこからの、回復の過程も、その流れと、関わり方のスキルの重要性とが、とても良く伝わってきました。出演された御家族に感謝ですね。

それとともに、常に子供たちに対して、変わらない、笑顔でのおおらかな接する態度を保つ事も、実際には、これはとても大変なスキルであるはずですが、おそらく長期間の取材であったはずの映像は、つねに同じ、穏やかな空気が流れていたように感じました。
この「プロフェッショナル 仕事の流儀」の番組構成みていると、いつも、途中での大きな挫折や失敗のエピソードが取り上げられ、そしてそこからいかにして現在に至る回復を成し遂げたかを、重視していますね。
服巻さんも、最初の頃に熱心になるあまり、親の方から、「先生は怖い」と言われて、短絡的にハードルの高い要求をしていたんだと気付いて反省され、自分自身の取り組む方法を変えなくちゃ、と思われたらしい。
この部分はとても重要ですね。でも、なかなか難しい事柄が一杯ありすぎて、言語化することができないで、ただ僕の頭の中を、そのイメージがグルグルと廻っていました。
この番組のあと、たまたま続けて見た、「爆笑問題のニッポンの教養」という番組に、精神科医斎藤環氏が出演されていて、爆笑問題の太田さんとの、アメリカの小説家のカート・ヴォネガットを巡る二人の対話の中から出てきた、斎藤先生のコメントに、そのことについて考えるヒントを与えていただいたように思います。
「愛よりも時に親切が人を救う」そんな主旨のコメント。
カート・ヴォネガットさんの小説は読んだ事無いし、まったく知らないので、検索すると、彼の息子さんは統合失調症で、息子さん自身がそのことをテーマにした本を出版されているようだ。カート・ヴォネガットさん自身のコメントは「愛は負けるが親切は勝つ」という主旨らしい。とても深いコメントですね。
おそらく、服巻さんの挫折経験からの回復の過程も、「愛よりも時に親切が人を救う」ことを知るプロセスでは無かったかと想像する。

見えない心に、よりそって
自閉症支援・服巻(はらまき) 智子 〜
プロフェッショナル 仕事の流儀
http://www.nhk.or.jp/professional/schedule/index.html

爆笑問題のニッポンの教養
FILE015:「ひきこもりでセカイが開く時」2007年10月30日放送
http://www.nhk.or.jp/bakumon/previous/