「喪失と獲得」ニコラスハンフリー著を読む

第7章の洞窟絵画と自閉症の少女の描いた絵の比較による論考の部分が参考になります。(ここしか読んでない)
言葉を獲得することによって、自然主義的な絵画表現を失っていくプロセスは、自分の娘の絵を、描き始めた頃から、記録している僕達にとっても、新しい視点であるけれど、記録を振り返ると、実際にそのような表現になっていて、シンボリックな頭足人的表現以前の、リアルな絵画表現をしていた時期から、頭足人的表現に変化していった時期の、ポイントは何かと言えば、やはり言葉の、ゆっくりとした習得と思われる。この論考でおもしろいなと思ったのは、洞窟絵画を描いた人達の分析の中で、彼らが、まったく言語を持たなかったのではなく、他の人間を呼ぶときの為に名前を付けていて、動物に対しては、それが無かったと推測している部分ですね。その論拠として、大量の動物の自然主義的な絵画を描いているが、人間の表現は、ほとんどなく、あってもシンボル化された単純な表現のものだけであることを、あげている。(ラスコー洞窟壁画人間表現参照)
娘の3月の展覧会のテーマは、「(仮)頭足人以前と頭足人表現、そして言葉の獲得へ」的なものにしようと考えている。これは、障害者のアートのテーマというより、もう少し一般化しうるテーマでもあるだろうし、その点からも、興味を持っていただければと考えている。

喪失と獲得―進化心理学から見た心と体

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