シェ・ドゥーブルにて小谷廣代展を観る

友人の小谷廣代さんが自分のお店で個展を開かれた。ここは夜12時までオープンしているので、時間に拘束されないで、自由にアートを楽しみたい人に相応しい空間に設えられている。オープン1周年で、定期的に発表される作家さんも増えてきたらしく、軌道に乗ってきたようだ。
小谷さんの作品は今回は少し大き目のキャンバスに描かれたタブロー2点。これまでの装飾的なものと、環境をイメージさせるような非装飾的なフラットなイメージのものとを併置するプレゼンと異なり、その二つの流れを統合するような試みがなされている。セピア色に塗られたタブローは目線の高さがキャンバスの上端にくるぐらいの感じで壁に掛けられていて、キャンバスの下端は床から少し離れた位置くらいにある。絵画とインテリアの構成要素の中間体のような、表現は、タブローに無限に近づいていけば、意識の働きが薄れて、無意識的に受容する世界の始まりのような、ノンヒューマン環境論的な様相となっているけれど、少し引いて観た時に、抽象化された、明確な交換可能なものとしての装飾性を発揮している。
最近のキャラクター性の強いアニメ的なイメージの交換可能性の高い作品を作る作家さん達の、分り易いアートに対して、このような抽象表現的な試みを、どんな形で理解を広めていけばよいのか、展示空間を含めて作り上げた小谷さんのアートに、その手掛かりがあるように感じました。