大野耕策先生にPWSと自閉的傾向について質問しましたところ、御返事のメールいただきました。了解を得ましたので、転載します。

プラダー・ウイリー症候群では他人の面倒を見たがるのは良くあります。他人の面倒を見るとき、相手の気持ち・立場を考えてやっているかどうか? おそらく自分のペースでやっているのだろうと思いますが、これを「自閉的」というのが正しいかどうか難しい所です。

いわゆる「古典的自閉症」は他人がやっていることに興味は示しません、従って友達の輪の中に入ろうとか、友達のお世話や面倒をみようとはしません。しかし、アスペルガー障害や高機能自閉症大妻女子大学・よこはま発達クリニック 内山 登紀夫先生のテキスト参照ください。http://web.kyoto-inet.or.jp/org/atoz3/ask/utiyama/)では、友達の輪に入ろうとする時がありますが、全く一方的やり方によってです。また、見知らぬ他人にべらべら話しかけることがありますが、一方的です。年長のプラダー・ウイリー症候群が、他人の気持ちや立場にたって面倒を見るのではなく、自分のペースでおせっかいをするだけならその背景は似ているかも知れません。ただ、通常2−3歳(PWSでは4−6歳であっても良いと思います)の子は、年齢的になんでもお母さんのお手伝いや年下の子のおむつをかえたりしたがる時があります。この時期はいろなんなことに興味を持ち、何でもやってみたい時期で、一方的で、邪魔ですが、正常の発達です。
以前、親御さんの一言が役に立つことがあると言ったのは、「他人の面倒を過剰に見たがる傾向がある」という様なお話しです。「私の子はここが違う」、「私の子はこんな面がある」、「私の子はこうしたら良かった」と言う情報が、これから患者家族にも、また、研究をしようとする人にも、役に立つと思います。PWSの「他人の面倒を過剰に見たがる」が病的であるかどうかを客観的データで示すことが私たちの仕事になります。ほぼ知的レベルと年齢が同じ他の原因の知的障害児と比較して差があるか、どういう評価をすればこの特徴を客観的に証明できるかなど、科学的に証明するのはなかなか難しいのですが、こういう情報は大切です。
2004年2月2日
大野耕策
鳥取大学・医学部・脳幹性疾患研究施設・脳神経小児科部門

ありがとうございます。
PWSの多様な症状の研究今後共よろしく御願い致します。