PWS関連遺伝子の再活性化

北海道大学医学部小児科の斉藤伸治先生へ質問のメール送りましたところ、下記の御返事を頂きました。このような研究してくださる先生が居てくださるというだけで、前向きな気持ちになれると思います。ありがとうございました。貴重な情報ですので転載御願いしましたところ、快諾下さいました。今後共よろしく御願いします。

前略、ご照会の件について回答いたします。私たちはPWS関連遺伝子の再活性化に関する研究に取り組んでおります。論文に示したように、培養細胞では不活性な遺伝子の再活性化が可能であることを明らかにいたしました。
しかし、最終的な目的である患者さまでの治療を考えた場合、現在の研究の到達点は、第一歩にすぎません。今後、培養細胞ではなく、モデル動物などを用いた組織・個体レベルでの研究が必要です。
こちらの実験は準備中ですが、まだ、取り組めてはおりません。また、単に再活性化するだけでは治療には使えません。適切な組織において適切なレベルでの活性をコントロールすることが必要です。特に、中枢神経(脳)の障害は発生過程や胎生期に完成している部分も多いと思われます。したがって、もし、適切な再活性化の方法ができたとしても、すべての症状の改善は困難です。しかし、肥満に代表される症状などを改善する可能性はあるのではと考えております。これらの治療に繋がる研究の発展のためにはPWSの病態の理解がさらに進むことが必要です。そのためには患者さまの研究への協力がなければできません。久留米大学の臨床研究にご参加いただいていると伺い、私からも感謝申し上げます。ご不明な点があればご連絡下さい。 草々
北海道大学医学部小児科
斉藤伸治
2003年12月13日